焼付塗装は、耐久性や耐候性に優れた塗装方法ですが、条件が適切でないと剥がれが発生することがあります。剥がれが生じる原因を理解し、適切な対策を講じることで、塗膜の品質を長期間維持することが可能です。
以下に、焼付塗装が剥がれる主な原因と対策を表にまとめます。
原因
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内容
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対策
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下地処理の不備
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表面の油分や汚れが残る
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脱脂処理・研磨を徹底
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焼付温度の設定ミス
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硬化が不十分または過熱によるひび割れ
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塗料ごとの適正温度を厳守
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塗膜の厚みが不適切
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厚すぎると乾燥不良、薄すぎると耐久性低下
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適正な膜厚を確保(30~50μm推奨)
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環境要因
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紫外線・湿気による劣化
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耐候性の高い塗料を使用
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施工ミス
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ムラや塗膜の不均一
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均一なスプレー塗装を心がける
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焼付塗装が剥がれた場合、補修を適切に行うことで塗膜の寿命を延ばすことが可能です。補修方法には「タッチアップ」と「再塗装」の2種類があり、剥がれの範囲や程度によって適切な方法を選ぶ必要があります。
タッチアップは、小さな剥がれや傷を部分的に補修する方法で、主に以下の手順で行います。
剥がれた部分の清掃
剥がれた部分の周囲を研磨し、塗膜の境界をなだらかにする。
脱脂処理を行い、汚れや油分を完全に除去する。
タッチアップ塗料の選定
元の焼付塗装と同じ種類の塗料を使用し、色合いを揃える。
筆やスプレーで塗布
タッチアップ用の筆またはスプレーで、薄く均一に塗布する。
乾燥・仕上げ
室温で乾燥させた後、必要に応じてヒートガンやオーブンで焼付ける。
剥がれの範囲が広い場合や、塗膜の劣化が進行している場合は、再塗装を行います。再塗装の手順は以下の通りです。
既存の塗膜を完全に除去
剥離剤を使用するか、サンドペーパーで削り落とす。
下地処理
表面を研磨し、プライマーを塗布することで密着性を向上させる。
再塗装
焼付塗装専用の塗料を均一に吹き付ける。
焼付乾燥
適正な温度と時間で焼付け、耐久性を確保する。
以下に、タッチアップと再塗装の適用範囲を表にまとめます。
方法
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適用範囲
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メリット
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デメリット
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タッチアップ
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小さな傷や剥がれ
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手軽に修復できる
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仕上がりに若干の差が出る
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再塗装
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広範囲の剥がれ
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元の品質に近づけられる
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手間とコストがかかる
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焼付塗装の耐久性を向上させるためには、適切な施工と定期的なメンテナンスが重要です。
高品質な塗料を選ぶ
用途に応じた耐久性の高い塗料を使用する。
適正な焼付温度を守る
メーカー推奨の温度で焼付けを行い、均一な硬化を実現する。
定期的なメンテナンス
表面の汚れや酸化皮膜を定期的に除去し、劣化を防ぐ。
保護コーティングを施す
クリア塗装やワックス処理を行うことで、紫外線や湿気の影響を軽減できる。
これらの対策を講じることで、焼付塗装の耐久性を最大限に高め、長期間美観を維持することが可能です。