屋根 各部の名称と雨漏りとの関係
2022/01/14
目次
皆さんこんにちは。皆さんは、ご自宅の屋根を気にされていますか?高い所にある為、外壁に比べると気にされる機会が少ない場所だと思います。そんな普段は気に留める事の少ない屋根ですが、家屋や家族を守ってくれる大切な所です。
本日は、そんな屋根の各部の名称と起こっては困る雨漏りの関係についてお話していきます。
この記事は、以下の項目で構成されています。
・屋根各部の名称と役割
1.棟
2.破風・ケラバ
3.鼻隠し
4.雨押え
5.庇(ひさし)
6.軒天上
7.雨樋(あまどい)
8.垂木(たるき)
9.野地板
10.ルーフィング(防水紙)
・まとめ(各部位と雨漏りとの関係)
屋根各部の名称と役割 1.棟
瓦屋根の場合もスレート屋根と役割は同じです。ただ、スレート屋根より見た目に関わる役割は大きいと言えます。スレート屋根の場合は、平らな金属板で覆うことが殆どですが、瓦屋根は構造上、立体的になります。その為、地上からでも見える場所となります。装飾の意味合いを併せ持つ鬼瓦の様なパーツの事を考えてもお分かりいただけるのではないかと思います。
スレート屋根の棟は板金のみというシンプルなパーツ構成でしたが、瓦屋根の棟はパーツが多くなります。棟の上に乗っている棟瓦、棟の両端にある鬼瓦など細かくパーツがあります。また、棟の下の隙間を埋めている漆喰も見た目を良くするだけでなく、水の侵入を防ぐという意味でも大切な役割を担っています。
2.破風・ケラバ 3.鼻隠し
屋根各部の名称と役割
2-1 破風
破風は屋根の先端部分に存在します。破風に使用される建材のことを「破風板」と呼びます。
しかし、屋根の先端部分に存在する部分を全て『破風』と呼ぶわけではありません。
屋根の先端で、さらに「樋が取り付けられていない」部分に破風は存在します。つまり、屋根の妻側の先端に付いている山形の部位のことです。“風を破る”という字の通り、風が屋根裏に侵入することを防ぐという役割もあります。
・防火性を高める
住宅火災は、下から上に延焼していきます。
破風に、厚みのある木材など、燃えにくい建材を使用することによって、延焼を防ぎ屋根裏まで火が回るのを防ぐ役割があるのです。
・外観を美しくする
屋根は、垂木などで構造されているため、破風がないと内部が見えてしまい外観を損なってしまう場合もあります。
破風があることにより、お家の外観をさらに美しく見えるようにすることができるのです。
また、破風を塗装することでお家の外観をガラッとイメージチェンジすることもできます。
2-2 ケラバ
ケラバは、破風と外壁までの間の屋根の部位のことを指します。
ケラバの由来が気になる方もいらっしゃいますよね。ケラバとは、昆虫の”ケラ(オケラ)の羽根”のことで、破風と外壁までの距離が短いところが、ケラの短い羽根に似ていたことから、『ケラバ』と名称が付いたそうです。昆虫が名称の由来だったとは驚きですよね。
また、鼻隠しと外壁までの間の屋根の部位(地面と水平になっている側)については、「軒」や「軒先」と呼びます。
『破風』も『ケラバ』も、樋が取り付けられていない屋根の妻側の先端部分に存在することがわかりましたね。
破風とケラバは、似た場所に存在し、さらに樋の取り付けの有無によって「鼻隠し」や「軒(先)」など呼び名が変わってくるため、破風やケラバはお家の部位の名称の中でも特にややこしいのです。
破風とケラバは同じ「屋根の妻側の先端部分」に存在するため、それぞれの役割には共通点もありますが、もちろん違いもあります。
破風とは屋根の妻側(ケラバ)の先端に貼られている板のことで、横殴りの雨が建物に入り込むのを防いでいる箇所です。
まず、破風とケラバに共通する役割は、「雨風を防ぐ」ことです。
破風は、横または下からの雨風の吹き込みによる雨水の浸入を防ぎます。ケラバは外壁面よりも突き出ているため、外壁に直接雨水が当たることを防いでくれています。お家のデザインによりケラバが存在しない住宅もありますが、その分雨漏りのリスクも高くなってしまうため、ケラバのないお家にお住まいの方は注意が必要です。
・日当たりの調整
ケラバがないと日の当たる角度によっては窓ガラスや外壁に直接日光が当たるため、夏場は室内温度も上がってしまいます。
ケラバがあることによって、直接日光が当たり室内温度が上昇することを抑制してくれるのです。
「日光が当たらないと冬は寒くなってしまうのでは・・・」と思う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、冬は日射角度が低いため、適度に日光を取り込むことができます。
・外壁の劣化防止
ケラバがないと、直接紫外線が外壁に当たる確率が上がってしまいます。紫外線は外壁の劣化の進行を早める原因のひとつです。
ケラバがあることにより、紫外線が外壁に直接当たることを抑制し、劣化を防ぐ役割もあります。
3 鼻隠し
屋根の先端で、「樋が取り付けられている」部位のことはまた別の呼び名があり、樋が付いている屋根の先端部分のことは「鼻隠し」と呼びます。
垂木の先端部分(鼻先)を隠すために取り付けられたことにより、「鼻隠し」という名称が付けられたそうです。お家の名称にもそれぞれきちんと由来があるのが面白いですね。
1階部分の屋根(下屋根)と外壁が接する部分に取り付けられる板金を言います。雨押え板金の役割は主に下記2つとなります。
・外部からの雨水の侵入を防ぐ
まず、外壁と下屋根の取合いは、完全に密着させるということが出来ず、隙間が出来てしまいます。
この隙間があると、雨水が入り込んで、雨漏りの原因となってしまいます。
そのため、この隙間部分に板金材を取付けることで、雨水が入らいないようにしているのです。
・内部に雨水が入ってしまった場合の逃げ道を確保する
外壁と下屋根の取合いから雨水が入ってしまうのなら、そこをコーキングで塞げば問題ないのでは?と思うかもしれません。
しかし、そこをコーキングで塞いでしまうと、外壁内部に雨水が入ってしまった場合に逃げ道が無くなってしまい雨漏りが発生してしまいます。
この取り合いは、ただ塞げばよいという問題ではなく、雨水の逃げ道の確保もしなければなりません。
雨押え板金であれば、排水用の隙間を確保できるため、雨漏りリスクを無くすことができます。
5 庇(ひさし)
屋根との繋がりがなく、独立して窓や扉の上部壁面に取り付けられている屋根のことを言います。庇の役割は以下の3点となります。
・夏の暑い日差しを防ぐ
日光が直接部屋に入るのを遮ります。日本の日差しは季節により差し込む角度が変化します。夏は真上近くから差し込み、冬は斜めから差し込みます。庇があれば、夏の真上からの日差しを遮ることができます。常に日差しが差し込むとカーテン等の窓際にある家具の劣化や色あせが早くなったり、エアコンの効き目が悪くなりますが、庇があればこれらを防ぐことができます。
・雨よけ
雨の日の玄関前(エントランス)で、傘をたたんだり鞄から鍵を取り出す際に濡れてしまうことがあります。そういった時に庇があれば雨に濡れません。また、窓を開けた状態で雨が降ってきても、窓の上に庇があれば部屋に雨が入り込みにくくなります。
・建物の外壁の汚れを防ぐ
外壁に黒いライン上の汚れがついてしまうことがあります。これは砂埃等がサッシ上部に溜まっていき、降雨時に雨に押し流され外壁をつたって落ちるために発生します。
庇が付いていれば、サッシに砂埃等が溜まりにくくなります。また、庇の「前勾配タイプ」は、降雨時に庇の前方から汚れが流れ落ちますし、「後勾配タイプ」であれば樋に集水され汚れが流れ落ちるため、外壁が汚れることが少なくなります。
6 軒天上
軒天上(のきてんじょう)は、屋根の外壁から外側に出ている部分の天井部分のこと。
軒天(のきてん)、軒裏(のきうら)と呼ばれることもあります。
この軒天には、3つの役割があります。
1つ目は、雨風が直接当たらないように外壁を保護する、いわば「傘」のような役割です。
また、下地材がむき出しになっていると、そこから雨風が吹き込み、屋根が劣化しやすくなりますが、軒天がしっかりと屋根の裏部分をガードしていることで、湿気や強風から家を守る効果もあります。
そして2つ目の役割は「目隠し」。軒天があることで、屋根裏の野地板や垂木といった下地を人の目から隠してくれます。
3つ目の役割は延焼防止です。
住宅で火災が起きた時、軒天がないと室内の火が窓から屋根に燃え移りやすく、短時間で家屋全体に火が回ってしまいます。
軒天によって、屋根は火から守られているのです。
今では当たり前のように住宅に設置されている雨樋ですが、実は雨樋が住宅に標準設置されるようになったのは江戸時代の頃からです。
当時は商業が盛んな地域を中心に隣家と接する形で住宅が連なっていたため、隣家の雨水が住宅内部に流れ込む、雨だれが跳ね返って屋根や外壁が汚れる、家を支える基礎部分が腐るなどの住家トラブルが絶えませんでした。
さらに、茅葺き・板葺き屋根の町家が密集した地域では火災による被害も増加したため、江戸幕府は1720年に防火対策などの住家トラブルを防ぐため民家の屋根を「瓦葺き」にするよう奨励すると同時に雨水などの落下による住宅の構造躯体・基礎部分へのダメージを軽減するため雨樋も設置されるようになりました。
現代日本では外装にこだわった意匠性ある住宅も増えており、雨樋や軒の少ない家や片流れ屋根の家が増えています。
こうした住宅では、近年増加しているゲリラ豪雨や集中豪雨など異常気象による大量の雨水を処理することができず、住宅内部に雨水の侵入を許してしまい雨漏りや構造躯体の腐食、カビ・シロアリの発生を招く原因となっています。
きちんと雨樋を設置することで雨水や雪解け水などの水分が住宅内部に侵入するのを防ぐだけではなく、軒下に流れ落ちた雨水や泥で外壁が汚れてしまうのを防いだり、カビやシロアリの発生を抑えたりすることが可能となります。
ここからは、屋根内部の構造の説明をさせていただきます。
8 垂木
屋根の重要な役割をもつ「屋根材・下地材」を支えている、骨組みの木材の事をといいます。
棟(屋根の頂上)から、樋が設置されている側面までの傾斜を、何本もの細長いこの垂木が、同じ幅の間隔で並び、屋根材の土台となっています。垂木の主な役割は、屋根材を支えている大切な存在です。
その資材とは主に、「野地板・防水シート・屋根材(瓦やスレートなど)」です。3つの資材の土台になり、負担もかかるため、垂木は頑丈でなければなりません。外からは見えませんが、まさしく『縁の下の力持ち』という役割をしてくれています。
9 野地板
野地板とは屋根の部位のひとつで、屋根を支えるための下地の板のことです。
「野」は目に見えないという意味で、屋根材に隠れて外から見えないことから「野地板」と呼ばれます。
屋根は最初に木材で骨格を作ります。その骨格の上に、瓦やスレートなどの屋根材を乗せるための板を貼っていきます。これを野地板と呼びます。形状や厚みなどは屋根材やその他の条件で変化します。
続いて野地板の役割についてご説明します。垂木は、屋根の斜面に垂直に一定間隔で並んでいる材木というのは、先ほどご説明した通りです。野地板はこの一定間隔に並んでいる材木、垂木の上に固定されます。
垂木とは垂直方向に貼られていくことが多いですが、近年では四角い野地板の素材などもあるため、野地板の乗せ方はさまざまです。野地板はこの垂木に固定され、野地板は野地板の上に乗る防水紙や屋根材を固定します。野地板を介して、垂木と野地板の上にある防水紙や屋根材を繋ぐ役割をしてくれています。
10 ルーフィング(防水紙)
ルーフィングとは、瓦屋根やスレート屋根などの屋根材の下に敷く下葺き材で、下地材の上から被せて、屋根仕上げ材から漏れてきた雨を防ぐ防水シートの役割をしています。 台風などの雨風が強い時に万が一、屋根材の隙間から雨水が入ったとしても、このルーフィング(防水シートが)最後の砦として家への水の侵入を防ぎます。
そのため、ルーフィングは、屋根本体と同じくらい重要な建材です。
①屋根材:一次防水
②ルーフィング:二次防水
のようなイメージです。
屋根材のみで雨水を100%防ぐのは難しく、経過年数と共に劣化もします。そのため、二次防水のルーフィングを使用して、雨水を抑えるという設計が住宅建築では基本です。 実際、ルーフィング(防水シート)のみで雨水の浸透を防ぐことができます。屋根材とルーフィング(防水シート)を組み合わせることで、屋根としての効果を最大限発揮します。
屋根の各部の名称とその役割についてはご理解頂けましたか?
雨の通る方向を決める棟に始まり、強風などで横や下から家屋へ水が浸入するのを防いでくれるケラバや軒天上、屋根に降り注いだ水を集め地面へのルートを確保する雨樋。外からは見えないが、屋根全体を支えている垂木や野地板。どのパーツもそれぞれに役割があり、とても大切な部位でしたね。
雨漏りのご相談を受け、現地調査を行うとパーツとパーツの繋ぎ目であることが多いです。雨押えや屋根板金が歪んで、隙間が出来てしまっているというケースも見られます。また、営業で歩いている際にも、屋根が波打ってしまっているという家屋も稀に見受けられます。こうなってしまうと、修繕に費用がかさんでしまいます。家屋も人と同じです。早期発見早期治療(早期修繕)が、結局のところ費用を抑えることも出来ますし、今の家に長く住み続ける事が出来る最善の方法です。
当社は、岐阜県羽島市を拠点に西濃地区や名古屋市を中心に雨漏り修繕も行っております。経験豊富なスタッフが雨漏りの原因となっているところを的確に把握し、修繕致します。該当地域で雨漏りにお困りの際は、是非、当社へご連絡ください。